2007年 オフィシャルソフトボールルールの改正と適用
(財)日本ソフトボール協会審判委員会

5−8項 打ち合わせ(49頁)

2.〈効果〉2(5)の新設

06年ルール
〈効果〉2
(1)打ち合わせを規定以上行うと、投手は交代しなければならず、この試合では再び投手として登板することはできなくなり、不正投手となる。
(2)攻撃側の打ち合わせ中、守備側が打ち合わせをしたとしても、それは「打ち合わせ」とはみなさない。
(3)「タイム」を要求しないで打ち合わせをしたときは、審判員の判断により「打ち合わせ」とみなされる。
(4)プレイングマネージャー(守備者として出場中の監督・コーチ)が、「タイム」を要求しないで打ち合わせを繰り返したときは、警告を与え審判員の判断により「打ち合わせ」とみなされる。


07年ルール
〈効果〉2
(1)・・・・・
(2)・・・・・
(3)・・・・・
(4)・・・・・
(5)選手交代の通告のために「タイム」を要求し、選手交代が行われている間に(「タイム」がかかっている間に)、守備側が打ち合わせをしたとしても、それは「打ち合わせ」とはみなさない。

(注)「タイム」を要求し、「打ち合わせ」を行った後、プレイ再開前にそのまま選手交代の通告を行つたとしても、その場合は「打ち合わせ」1回がカウントされる。

[背景]これまでの試合で守備側監督がタイムを要求して守備側のメンバーと打ち合わせを行い、そのまま打ち合わせの延長の中で監督が球審に「プレイヤーの交代」を通告した場合、その通告までの打ち合わせを「打ち合わせ」としてカウントしないケースが見受けられたことから、今回、ルールの悪用がないように改正したものである。

[事例1]7回裏、一死走者三塁。守備側監督は「タイム」を要求し、球審に投手の交代を告げた後、投手が準備投球中に監督はピッチャーズマウンド付近に内野手を集め、「打ち合わせ」を行った。これは、「打ち合わせ」になるか。

[適用]5−8項2〈効果〉2(5)を適用し、「打ち合わせ」とはみなさない。


[事例2]7回裏、一死走者三塁。守備側監督は「タイム」を要求し、ピッチャーズマウンド付近に投手を含めた内野手を集め、「打ち合わせ」を行った。その後、監督はマウンド付近から球審のところに歩み寄り、投手の交代を告げた。これは、打ち合わせになるか。

[適用]5−8項2〈効果〉2(5)(注)を適用し、投手交代を告げる前の「打ち合わせ」は、「打ち合わせ」1回がカウントされる。



6−8項 準備投球(56頁

2.〈効果〉2の新設

06年ルール 2.同一イニング中に、いったん交代した投手が再び投手に戻るときは、準備投球は認められない。

07年ルール 2.同一イニング中に、・・・準備投球は認められない。

〈効果〉2

投手が準備投球を行つたときは、1球ごとワンボールが宣告される。


[事例]7回裏、一死走者三塁となったところで、守備側監督は「タイム」を要求し、A投手に代わりB投手をマウンドに送った。二死走者三塁となったところで、守備側監督は、今度はB投手をA投手に代えた。球審が記録・放送席に交代を告げている間に、準備投球を2球投げた。この準備投球は認められるか。

[適用]6−8項2.〈効果〉2を適用し、2ボールがカウントされる。

[運用]一塁塁審・二塁塁審は連携して、準備投球のできない投手に投球させないようにしなければならない。



8−2項 打者走者がアウトになる場合(74頁)

14.(注1)(注2)の新設

06年ルール 攻撃側のメンバー(走者は除く)が、野手がファウル飛球を捕球しようとしているのを妨害したとき。

(注)走者が妨害したときは、その走者はアウトとなり、打者はファウルボールとして打撃を継続する。

〈効果〉8〜15

(1)ボールデッド。
(2)打者走者アウト。
(3)他の走者は投球時に占めていた塁に戻らなければならない。


07年ルール 攻撃側のメンバーが、野手がファウル飛球を捕球しようとしているのを妨害したとき。

(注1)走者がいる場合は、打者走者をアウトにしないで、本塁に最も近い走者がアウトになる。
(注2)走者が妨害した場合は、その走者はアウトになる。
(注1)、(注2)とも打者はファウルボールとして打撃を継続する。

[参考]攻撃側メンバーとは、ベースコーチ・バットボーイ(ガール)・ベンチにいるプレイヤー等で「アウトにできない」対象をいう。

[事例1]走者二・三塁。打者が三塁ベース前のファウル地域にフライを打ち上げたとき、これを捕球しようとした三塁手の守備を三塁ベースコーチが妨害した。

[適用]8−2項14.(注1)を適用して、本塁に最も近い走者である三塁走者をアウトにする。ボールデッド。打者はファウルボールで、打撃を継続する。
06年のルールでは、「打者アウト。ボールデッド」としていた。


[事例2]走者二・三塁。打者が三塁ベース前のファウル地域にフライを打ち上げたとき、これを捕球しようとした三塁手の守備を三塁走者が妨害した。

[適用]8−2項14.(注2)を適用し、妨害した三塁走者アウト。ボールデッド。打者はファウルボールで、打撃を継続する。06年のルールの適用と同じである。


[関連]8−2項14.に規定する以外の攻撃側メンバーによる守備側に対する妨害行為

1  7−6項(67頁)「打者・アウト」〜打者の妨害行為

11.打者が打者席外に足を踏み出して、捕手の捕球や送球を妨害したとき。
12.打者が打者席内にいて、故意に捕手を妨害したり、本塁上のプレイを妨害したとき。
13.打者が打者席内または打者席内外で故意に送球を妨害したとき。

〈効果〉11〜13

(1)ボールデッド。
(2)打者アウト。
(3)各走者は審判員の判断により、妨害発生時に占めていた塁に戻らなければならない。



2  8−2項(73頁)   「打者走者アウト」〜打者走者の妨害行為

8.打者走者が打球を処理しようとしている野手の守備を妨害したり、送球を故意に妨害したとき。

〈効果〉8〜15

(1)ボールデッド。
(2)打者走者アウト。
(3)他の走者は投球時に占めていた塁に戻らなければならない。


(注1)明らかにダブルプレイを阻止するために妨害したと審判員が判断したとぎは、妨害発生時に本塁に最も近い走者もアウトになる。

(注2)打球を処理しようとしている捕手と打者走者が本塁前で衝突したときは、守備妨害で打者走者がアウトになる。
3 8−6項(87頁)「走者アウト」〜走者の妨害行為
11.走者が打球を処理しようとしている野手を妨害したり、あるいは送球を故意に妨害したとき。

〈効果〉10〜11

(1)ボールデッド。
(2)走者アウト。
(3)打者走者には一塁までの安全進塁権が与えられ、他の走者はフォースの場合を除き、妨害発生時に占めていた塁に戻らなければならない。

(注1)この妨害が明らかにダブルプレイを阻止しようとするものであると審判員が判断したときは、これに直接関連する走者、または打者走者もアウトになる。
(注2)走路上を走つていた走者が、打球を処理しようとしている野手または打球に触れて守備の妨害になったときは、たとえ偶然であっても走者アウトである。
(注3)ファウル飛球を捕球しようとしている野手を、走者が妨害したときは、その走者はアウトで、打者はファウルボールとして打撃を継続する。
(注4)「野手の打球処理」とは、野手が打球に対する守備をはじめて、捕球し、送球するまでプレイをいう。



8−3項 進塁と逆走塁(76頁)

1.【例外】の新設

06年ルール 進塁するときは、一塁・二塁・三塁・本塁の順に各塁に触れなければならない。

07年ルール 進塁するときは、・・・・・各塁に触れなければならない。

【例外】走者が触塁を妨害されたときは、たとえその塁に触れていなくても、触塁したものとみなし、そのまま進塁することができる。
また、前位の走者が本塁で触塁を妨害され、後位の走者が本塁に触れてしまつた場合でも、前位の走者は本塁に触塁したものとみなし、その得点は認められる。

[経緯]本塁での走塁妨害〜2005年の中央研修会での解説〜
本塁上で走塁妨害が発生し、妨害を受けた前位の走者が触塁する前に後位の走者が本塁に触塁した場合は、アピール権が残る。

1   5−7項1 走者が、その回の第3アウトになる前に、一塁・二塁・三塁・本塁に正しく触れた場合に1点が記録される。
2   8−3項7 ボールインプレイ中、ボールデッド中を問わず、後位の走者が得点したのちは、前位の走者は空過した塁やタッチアップの早過ぎた塁に戻って触れ直すことはできない。

〈効果〉6〜8 次の投球動作に入る前にアピールされたときは、その走者がアウトになる。

3   8−6項.24 走者が本塁に走り込んだり、滑り込んだりしたが、本塁に触れないで触れ直そうとしなかったとき。
〈効果〉これらはすべてアピールプレイである。

以上のことから、走塁妨害された走者も正しく本塁に触れなければ得点は認められず、たとえ球審の「オブストラクション」の宣告により本塁を与えられた走者であっても、本塁に触れないでベンチに入った場合、野手が本塁に触球しアピールすれば当該走者はアウトになる。
即ち・走塁妨害を受けた場合でも、そのために走者が有利となることはなく、安全進塁権が与えられるだけである。


【運用】

1 本塁上で走塁妨害が発生した場合は、妨害をした野手を指差して「オブストラクション」を宣告し、妨害を受けた走者に対しては右手で指差し本塁への触塁を促す。
このとき、「踏みなさい」等の発声と指示はしないで指差するだけとする。
それでも、なお妨害を受けた走者が本塁に触塁しなければ、守備側のアピール権は残り、野手が本塁に触球しアピールすれば走者はアウトになる。
なお、後位の走者が本塁に触塁した後であっても、オブストラクションのアドバンテージにより、前位の走者(走塁妨害を受けた走者)には、本塁の触塁を促し、当該走者(走塁妨害を受けた走者)が本塁に触塁すれば、その得点を認める。

2 走塁妨害を適用するのは、あくまでも捕手の妨害行為が無ければ当然本塁に到達できたと判断できる場合である。


07年ルールの【適用】

1 走者が触塁を妨害されたときは、たとえその塁に触れていなくても、触塁したものとみなし、そのまま進塁することができる。
2 また、前位の走者が本塁で触塁を妨害され、後位の走者が本塁に触れてしまった場合でも、前位の走者は本塁に触塁したものとみなし、その得点は認められる。

【事例1】一死走者一塁、打者がライト線ヒットを打った。一塁走者は二塁塁上で、守備機会も無く、球も持っていない守備者に接触したため、二塁に触塁することができなかった。走者はそれでも三塁を狙ったが、三塁手前でタッチアウトになった。

【適用】8−3項1.【例外】前段(76頁)
守備者の妨害により、走者は二塁に触塁することができなかったが、触塁したものとみなし、進塁することが認められる。三塁手前のタッチアウトは、妨害がなければ三塁まで達していた判断される場合、三塁までの安全進塁権が与えられる。

【事例2】2対1で先攻チームがリードしていたが、7回裏の攻撃チームは二死、走者二・三塁のチャンスを迎えた。
打者の打った打球はセンター前にぽとりと落ちるヒットになり、二塁走者・三塁走者とも三塁を回ってホームに突っ込んだ。
センターからホームヘ好返球され、一瞬アウトかと思われたが、捕手がホームベースを完全にブロックしていたために、三塁走者はスライディングはしたが、はじき飛ばされて本塁に触塁することができなかった。捕手も転倒した。
このとき、球審はオブストラクションのコールをした。続けて進塁してきた二塁走者は、この隙に本塁に達した。

【適用】8−3項1.【例外】後段(76頁)
前位の走者が本塁で触塁を妨害され、後位の走者が本塁に触れてしまった場合でも、前位の走者は本塁に触塁したものとみなし、その得点は認められる。このケースでは、3対2で後攻チームのサヨナラゲームとなる。




 
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