2005年  オフィシャルソフトボールルールの改正と適用

3−3項 不正グラブの使用(32ページ)

「効果」3項(注2)投手が不正グラブを使用して投球した時は、不正投球となる。

2004年ルール投手が不正グラブを使って投球しただけのときは、不正用具の使用とみなさない。

「適用」
投手が不正用具の使用と見なされるのは、「打球処理」「送球処理」をしたときである。
3−3項
1.ミットは捕手と一塁手だけが使用できる。
2.投手が使用するクラブは、全体が一色であって、その色は白色か灰色以外の色でなければならない。

「例示」
ケースブック(改訂第3版)6019(6−5項2異物の使用)は、本項が適用される。
投手が黒のグラブに白い革紐のついたものを使用して投球すれば不正投球となる。
投手は白色か灰色以外の一色のグラブが義務づけられ、グラブの紐についても同色でなければならない。

「運用」
審判員が、投手の不正グラブを発見したときは、投球前または投球後であっても直ちに試合を停止し、厳重注意のうえ是正させること。(投球後であれば、不正投球)

3−5項 ボディプロテクターの着用義務

3−5.2 捕手は、ボディプロテクターを着用しなければならない。

2004年ルール 女子の捕手は、ボディプロテクターを着用しなければならない。(男子も着用することが望ましい。)

「背景」
従来は、女子のみに義務づけられていた捕手のボディプロテクターの着用について、本年度から男子にも適用されることとなった。

その背景は、ISFルールでは、まだ採用されていないが、男子の投球はよりスピードと威力があり、変化球も多様であり、より高い「安全性」を確保する観点で、ISFルールの改正を待たずにJSAで先行導入した。

「適用」
男子・女子を問わず、捕手は「ボディプロテクターの着用」が義務づけられた。
指示してもしたがわないときは、そのプレイヤーは試合から除外される。

「参考」
捕手用マスクに日除け(サングラス)が装着されているものは、ルール上は問題なく、スロートガードつきであれば良い。



4−5項 指名選手(39〜40ページ)

4−5.6 DPはいつでもDEFO以外のプレイヤーの守備も兼ねることができる。
そのとき、DPが守備を兼ねたプレイヤーは打撃のみを継続する。

4−5(注6)DPが、DEFOあるいはそれ以外のプレイヤーの守備を兼ねている状態で交代、またはDEFOがDPの打撃を兼ねている状態でで交代したときは、解除の通告がない限りは、そのままの状態を引き継いで交代したものとみなされる。

「要点」
従来のJSAルールでは、DPが守備を兼ねることができるのは、DEFOの守備に限られていたが、本年度からDEFO以外のプレイヤーの守備も兼ねることができるようになった。

DPは
1.DPは、打撃専門のプレイヤーで、どの守備者につけても良い。
2.DPの氏名は、試合開始前に打順表に記入しなければならない。
3.DPの打順は、その試合中変更することができない。
4.DPがスターティングプレイヤーであれば、いったん試合から退いても、いつでも一度に限り再出場できる。
5.DPが再出場するときは、元の打順にもどらなければならない。
(元の打順に戻らないときは、再出場違反となる。)
6.DPが再出場するときは、打者と守備者を兼ねても良い。
7.DPが再出場したときは、DEFOは10番目の位置に戻り守備のみができる。
8.DPは、いつでもDEFOの守備を兼ねることができる。
9.DPがDEFOの守備についたときは、そのプレイヤーは試合から退いたことになる。
(このとき、チームのプレイヤーは10人から9人になる。)
10.DPはいつでもDEFO以外のプレイヤーの守備も兼ねることができる。
そのとき、DPが守備を兼ねたプレイヤーは打撃のみを継続する。

DEFOは
1.DEFO(DPの守備者)は、守備専門のプレイヤーで打順表の10番目に記入しなければならない。
2.DEFOは、いつでもDPの打撃を兼ねることができる。
3.DEFOは、いつでも控えの選手と交代できる。
4.DPがDEFOの守備についたときは、DEFOは試合から退いたことになる。
5.DEFOがスターティングプレイヤーであれば、いったん試合から退いても、いつでも一度に限り再出場できる。
6.DEFOが再出場するときは
○10番目の位置の守備者と交代して再出場することができる。
○DPの打順に再出場して、打撃と守備を兼ねることができる。
(チームのプレイヤーは10人から9人になる。)

「例示」〜ケースの検討〜

Q1【4−5項指名選手(DP)】DPは、DEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねることができるか?

A:DPはDEFOの守備を兼ねることができるし、DEFO以外のプレイヤーの守備も兼ねることができる。
DPがDEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねた場合は、そのプレイヤーは自分の打順で攻撃のみを行い、ゲームからは退かないことになる。

Q2【4−5項指名選手(DP)】DPがDEFOの守備を兼ねた場合とDEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねた場合とは、どのような違いがあるか?

A:DPがDEFOの守備を兼ねた場合は、DPは攻撃と守備の両方を行い、DEFOはベンチに退くことになり、プレイヤーは10人から9人になる。
DPがDEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねた場合は、DPは攻撃と守備の両方を行うが、そのプレイヤーは自分の打順で攻撃のみを行い、ゲームからは退かないことになる。したがってプレイヤー数は10人そのままである。

Q3【4−5項指名選手(DP)】DEFOは、DP以外のプレイヤーの攻撃をかねることができるか?

A:DEFOはDPの攻撃を兼ねることはできるが、DP以外のプレイヤーの攻撃を兼ねることはできない。

Q4【4−5項指名選手(DP)】守備のとき、DPがDEFOでないプレイヤーの守備を兼ねた。次の攻撃のときそのプレイヤーが無通告で打席についた。
これは無通告交代になるか?

A:無通告交代ではない。DPがDEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねた場合は、そのプレイヤーは攻撃のみを行うことになるが、ゲームから退いたことにはならない。

Q5【4−5項指名選手(DP)】3回守備のとき、DPがDEFO以外の守備を兼ねた。そのプレイヤーが通告なしで元の守備についた。

A:無通告交代である。

Q6【4−5項指名選手(DP)】三番打者AはDPで、二塁手BはDEFOである。
5回の守備のとき、AはレフトCと代わって守備につき、BはDPの攻撃を兼ねて三番打者で二塁手となった。この交代は認められるか?

A:認められない。DPのAはレフトCと代わって守備につくことはできるが、そのとき更に、DEFOのBがDPの攻撃を兼ねる場合は、DPはゲームから退かなければならない。DPがゲームに残っているときは、DPは、攻撃のみを行うか、攻撃と守備の両方を行うかのどちらかの場合だけで、DPが守備のみでゲームに残ることはできない。

Q7【4−5項指名選手(DP)】三番打者AはDPで、二塁手BはDEFOである。
4回表の攻撃のとき、BはDPの攻撃を兼ねて三番打者の打席についた。
4回裏の守備のとき、Bは三番打者として残り、二塁には控えのプレイヤーと交代した。この交代は認められるか?

A:認められない。DEFOがゲームに残る場合は守備のみを行うか、攻撃を兼ねて守備と攻撃の両方を行うかのどちらかの場合だけである。DEFOが攻撃のみでゲームに残ることはできない。

Q8【4−5項指名選手(DP)】三番打者AはDPで、二塁手BはDEFOである。
3回の守備のとき、DPのAがレフトCにに代わって守備についた。
4回の守備のとき、Cはレフトに戻り、DPのAはショートのDと代わってショートの守備についた。
さらに6回にはDはショートに戻り、DPのAはライトEと代わってライトの守備についた。この交代は認められるか?

A:認められる。DPはどのプレイヤーの守備を兼ねることもできるし、その回数に制限もない。

「修正」〜ケースブックの修正〜
1.4005【4−5項指名選手(DP)】DP、DEFOは再出場することができるか?

A:DPもDEFOもスターティングプレイヤーであれば、一度に限り再出場できる。

2.4009【4−5項指名選手(DP)】選手Aは投手で、DPとして選手Bがついていた。試合の途中から選手Aに代わりDPの選手Bが投手として登板した。この交代は認められるか?

A:認められる。DPはいつでもDEFOの守備だけでなく、DEFO以外の守備者の守備につく(守備を兼ねる)ことができる。ただし、DPがDEFOの守備を兼ねたときは、DEFOはいったん試合から退いたことになり、再出場しない限り試合は9人で続けられる。DPがDEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねたときは、そのプレイヤーは打撃のみ行うが、試合から退くことにならないので、試合は10人のままで続けられる。

3.4025【4−5項指名選手(DP)】DPで出場していた選手Aが、7回にDEFOで出場していた投手Bに代わり登板した。この交代は認められるか?

A:認められる。DPは、いつでもDEFOの守備だけでなく、DEFO以外の守備者の守備を兼ねることができる。このケースでは、DPがDEFOの守備を兼ねた時点で、DEFOはいったん試合から退いたことになり、プレイヤーは10人から9人になる。DPがDEFO以外のプレイヤーの守備を兼ねたときは、そのプレイヤーは打撃のみを行うが、試合から退いたことにはならないので、試合は10人のままで続けられる。

4.4026【4−5項指名選手(DP)】球審に通告しないでDEFOが再出場した。

A:相手チームからアピールがあれば、無通告交代のペナルティが適用され、そのプレイヤーは試合から除かれ、失格選手となる。

5.4030【4−5項指名選手(DP)】四番・DPが3回に六番三塁手に代わり守備に入った。5回DEFOが六番三塁手に代わり打席に入った。

A:DPはDEFOだけでなく、全てのプレイヤーの守備を兼ねることができ、他のプレイヤーと同様に守備位置も変更することができる。DEFOはDPの打撃を兼ねることはできるが、DP以外の打撃をを兼ねることはできない。DPは、六番・三塁手の代わりに打撃を行うことはできない。このような交代は、DP違反となり不正交代のペナルティが適用される。(そのプレイヤーは試合から除外され、失格選手になる。)


8−4項 走者に安全進塁権が与えられる場合(76ページ)

8−4.1 特例
(注)二死走者満塁のとき、打者が四球を選び、三塁走者が本塁を踏む前に、二塁走者が三塁を走
り越してタッチアウトになったときは三死であるが、打者による一塁への安全進塁権があるため、
三塁走者による得点は認められる。〜削除〜

「要点」
従来の特例が削除され、タイムプレイとなる。

「例示」
二死走者満塁のとき、打者が四球を選び、三塁走者が本塁を踏む前に、一塁(二塁)走者が二(三)塁を走り越してタッチアウトになったときはに、三塁走者が本塁に達していなければ三死となり、三塁走者による得点は認められない。


8−4.2 本塁での走塁妨害(76ページ)

「本塁上で走塁妨害が発生し、妨害を受けた前位の走者が触塁する前に後位の走者が本塁に触塁した場合は、アピール権が残る。」〜前年の中央研修会解説の再確認〜

「検討」
1.5−7項.1 走者が、その回の第3アウトになる前に、一塁・二塁・三塁・本塁に正しく触れた場合に1点が記録される。

2.8−4項.2 野手が走者の走塁を妨害したとき。
〈効果〉2走塁妨害が発生したとき(ランダウンプレイを含む)は、
(1)ディレードデッドボール
(2)走塁を妨害された走者及び他の走者は、審判員の判断により妨害がなければ達して
いたと思われる塁までの安全進塁権が与えられる。
(注2)走者が塁に達しようとしているときは、野手は塁の前縁の一部を空けなければならない。
野手がこれに違反したため、走者が塁に触れることができなかったときは、走塁妨害
が適用される。(走塁妨害は走者が帰塁するときにも適用される。)

3.8−6項.7 後位の走者が、アウトになっていない前位の走者を追い越したとき。
(注)走者が安全進塁権を与えられ、進塁しているときも、追い越しアウトは適用される。
〈効果〉(1)ボールインプレイ。
(2)その走者はアウトになる。

4.8−6項.24 走者が本塁に走りこんだり、滑り込んだりしたが、本塁に触れないで触れ直そうとしなかったとき。
(注)触れ直す意思がなく、ベンチに向かっているときのみ適用される。
〈効果〉これらはすべてアピールプレイである。正しいアピールがなされなければ、アウトにならない。
(2)4)本塁に触れないで、触れ直そうとしなかったとき。
球を持って本塁に触れ、審判員にアピールする。

「結論」
1.走塁妨害された走者も、正しく本塁に触れなければ得点は認められない。
(球審の「オブストラクション」の宣告により本塁を与えられた走者が、本塁に触れないでベンチに入った場合、野手が本塁に触球しアピールすれば走者はアウトになる。)

2.走塁妨害を受けた場合でも、そのために走者が有利になることはなく、安全進塁権が与えられるだけである。

「運用」
1.捕手による走塁妨害が発生した場合は、妨害をした野手を指さして「オブストラクション」を宣言し、右手人差し指で妨害を受けた走者に対して本塁への触塁を促す。
このとき、「踏みなさい」等の発声と指示はしないで、指差すだけとする。

それでも、なお妨害を受けた走者が本塁に触塁しなければ、守備側のアピール権は残り、野手が本塁に触球しアピールすれば走者はアウトになる。

2.走塁妨害を適用するのは、あくまでも捕手のその行為が無ければ当然本塁に到達できたと判断できる場合である。

〜全軟連競技者必携、高校野球審判手引きにおいても、同趣旨の運用〜


8−6項 走者がアウトになる場合(83ページ)

8−6.5 ボールインプレイ中、ボールデッド中にかかわらず、他の走者以外の者が走者の身体に触れ、走者を援助したとき。

2004年ルール ボールインプレイ中、他の走者以外の者が走者の身体に触れ、走者を援助したとき。
(注)その走者に対してプレイが行われていないときはアウトではない。)

「要点」
従来は、「ボールインプレイ中の行為のみ適用とし、しかもその走者に対しプレイが行われていないときはアウトではない。」としていたが、本年度からはボールインプレイ中、ボールデッド中にかかわらず、走者を援助したときは、当該走者は直ちにアウトになる。

「例示」
1.二死三塁。打者がレフトに大きな飛球を打ち上げた。三塁走者がタッチアップをしないで本塁方向に進塁しようとしたので三塁コーチは両手で三塁方向へ押し戻した。
打球は、風にも乗って場外に落ち、ホームランとなった。ルール適用

2.二死満塁。打者がセンターに大きな飛球を打ち、これをセンターが落球したため三塁走者は得点した。この時、二塁走者が三塁を触塁した後に、三塁コーチが二塁走者の胸を両手で押さえ、三塁方向へ押し戻した。ルール適用

3.二死一・二塁。打者がレフトオーバーの場外ホームランを打った。二塁走者・一塁走者はホームインした。
打者走者が三塁を回ったところで三塁コーチは喜んで打者走者とハイタッチし、打者走者の背中を左手でポンとたたき本塁方向へ押した。ハイタッチだけの場合はルール適用外

4.二死満塁。打者がライトに大飛球を打ち上げ、これが三塁打となった。三塁走者は得点したが、二塁走者は三塁コーチからアシストを受けた。この時、一塁走者が二塁を空過していたため、アピールアウトになった。(四死)
〜第3アウトがアピールによって第4アウトと置き換えられ、無得点となる〜